こんばんは、トラベルデザインの須﨑です。

羽後町DMO記事.010

前回は観光事業の基本の3ステップ、「作って」「売って」「受け入れる」を紹介させていただきました。

では、いかにして地域が主体的に観光事業を進めていけばいいのでしょうか?

今回は観光事業の3ステップ《詳細編》です。 上記の図を使って説明いたします。 基本のステップと大きく異なる点は基本の3ステップに「マーケット目線」を加えたことです。地域に一番足りないのは「マーケット目線」です。以下、基本の3ステップ毎にマーケット目線の重要性とその方法をご説明します。

「作る」の3つ (目的:地域リソースを情報化しストックすること)

①リソース

まずは地域にあるリソース(資源)をありったけ発掘します。よく「自分の地域の魅力を再発見しよう」と言われる分野です。世界に売りたいのはもちろん地域にあるものです。ありったけのリソースを探して、集めていきます。また、観光は人と人の出会いです。観光を共に動かしていく人が集めていきます。

②ストーリー

地域にあるリソースは目に見えるものだけではありません。そこにある歴史や受け継がれてきた物語、価値観なども掘り起こしていきます。これが後々、各商材をつなげるボンドになっていきます。

③コンテンツ

ここでは実際に売り出す商材を考えます。何が、誰に、どのように、いくらで提供できるのかリスト化していきます。ここで重要なのは各商材を合体させないこと。例えば「2泊3日OO市満喫ツアー」という名のツアーを造成することはよくありますが、実際にそれが売れることはありません(ありませんでした)。後ほど説明しますが、それは「作る」ステップでは実行してはいけません。どんなツアーにも対応できるように、各コンテンツとして情報をストックしておくのが目的です。

「作る」×「マーケット目線」

地域で観光開発を実施する時、多くの場合地域の皆さんが集まり、何を売り出すか会議をします。「私はこれが売りたい!」「この地域にはこんな素晴らしいものがある!」と意見が飛び交い、どんどん想像が膨らみます。しかし、このような会議の場合、多くの人が心の中に何か違和感を持ち始めます。

『本当にこれは売れるのか・・・?』

それでも会議は続き、最終的に結論を出さなければいけなくなります。そして、出たアイディアをすべて盛り込み「OO市満喫ツアー」という名の商品が完成します。

果たしてこれは実際に売れるでしょうか?答えはNOです。なぜならマーケットはそもそも「OO市を知らない」からです。リソースはたくさん発掘できた気がするけれど、地域の皆さんの中に『これならいける!』という自信は生まれません。

そこで活躍するのが「マーケット目線」です。書き出した地域リソースに対して外部から評価してもらいます。何が面白くて、何がなんとも思わないのか。実際にマーケット側から判断してもらうことで、地域の中に基準が出来上がっていきます。

私たちはこのステップを県内にいる留学生とコラボすることでマーケット目線を導入してきました。留学生は地域リソースを評価してもらう上でとても強い存在です。

まずなんといってもコストが安いことです。これまでモニターツアーというとなぜか東京から呼んでこなければいけないというイメージが地域には根付いていたように感じます。都市部の方をターゲットに置いた商品を造成する目的があったのかもしれませんが、外国人となれば東京である必要はありません。また、わざわざ海外から誘致しようとすればとてつもなくコストが高くなります。

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留学生は秋田県内に住んでいます。彼らは半年から1年で入れ替わり、定期的に新しい(日本をあまり知らない)外国人が来るのです。最初のトライとしては最適なターゲットだと思います。

弊社の方法は留学生をトラベルライターとして採用し、留学生を地域へ送り込みます。地域の皆さんが提供したいリソースを実際に体験してもらい、留学生から感想を聞きます。

地域の中には外国人と話したことのない方や、『本当に外国人が自分の地域を楽しむのか?』と疑問を持っている方もいます。それが留学生が実際に来て、同じ時間を共有することで疑問を解消していく素晴らしい機会となります。時間のかかる作業ですが、地域に外国人を呼び込む為には外せないステップだと考えます。

トラベルライターが実際に経験した体験談は一部本webサイトにも掲載しています。
留学生たちの体験談(英語)
留学生が発掘した地域リソース説明記事「おにぎりはなぜ三角形なの?」(日本語)

地方都市でインバウンド事業を実施する際、地域に住む留学生とコラボすることは効率よく地域リソースをストックすることにつながります。

長くなりましたので、「売る」「受け入れる」は次回にしたいと思います。

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