秋田県では毎年、夏の終わり頃に前年度の観光統計が発表されます。 観光庁のデータより、外国人観光客の数(厳密には宿泊数)も発表されます。 下記は、ここ5年間の外国人宿泊者数(従業員10名以上の施設のみ換算)です。 DMO説明_FBページ.007 ちなみに訪日外国人の訪問率から見ると、秋田県は東北の中でも外国人の数が圧倒的に少ない状況です。

東京:47.3%
宮城:1.0%
青森:0.4%
山形:0.4%
福島:0.4%
岩手:0.3%
秋田:0.3%
(観光庁「訪日外国人消費動向調査」より)

ここ数年で、秋田に最も多くの外国人が訪れた年は2010年。秋田の皆さんはご承知の通り、「アイリスブーム」が起こった年でした。しかしその後、震災が起こりお客様は激減。アイリスブームも去り、まだまだ回復していない状況です。

そんな、インバウンド後進県である秋田はどこを目指すべきか? 「まずは2010年頃の水準まで戻すべき」とおっしゃる方もいらっしゃいます。

しかし実際は、単純に宿泊者数だけ追っただけでは決して観光は盛り上がりません。

【お客様が増えても儲からない場合もある】
事実、アイリスブームが起こった当時、仙北市の宿の単価はかなり下がりました。あるホテルでは定価9,000円/泊のところ、半分の4,500円/泊まで下がったそうです。また、今のようにバスの料金に規定がなかったので、県内のバス会社には1日貸切で30,000円と提示されたこともあったようです。(通常の相場の半額以下) なぜそれほど単価が下がったのか? それは、この当時の観光が発地型だったからです。

ドラマの影響で、韓国人の方の方はもちろん、アジアの周辺諸国の方々が秋田という地を知りました。 そこで各国の旅行会社はツアーを組み、秋田周遊ツアーを企画しました。 ただ、地域の旅行会社が関わりを持つことはありませんでした。なぜなら必要がなかったからです。

ツアーの内容は、田沢湖、角館、温泉、スキー場などドラマの撮影地を周るバスツアーです。各国の旅行会社が自ら企画し、引率、案内まで実施できました。お客様の数が増加する中で、各国の旅行会社は利益アップの為に単価を下げる努力をしました。結果的に、地域に落ちるお金は自ずと減っていきました。 観光客の人数だけ増やしたとしても、それが必ずしも地域活性化には結びつかない。

お客様の消費単価を上げてこそ、はじめてそれは実現するのです。

【着地型観光が必要な理由】
お客様の商品単価を上げていく為には、観光事業の主導権を地域側が持つ必要があります。 現地にいない海外の旅行会社でも企画できる単純な周遊ツアーではなく、地域が関わることで初めて実施できるコンテンツにしなければならないのです。現在仙北市で実現している農家民宿体験などは、まさに地域の積極的な関わりがなければできない体験です。 さらに、「秋田だから来たい」と思えるようなコンテンツである必要があります。そこには、必ず「マーケット目線」が必要です。地域の事情や地域のやりたいことではなく、お客様が欲しいと思うものを出していかなければいけない。この段階は地域にとって非常に難しく、各地域が連携し、合意形成していかなければいけません。あくまでもマーケットの立場に立って。

観光施策の指標=観光客の人数✖️観光客消費単価 観光地域づくり=地域の関わり✖️マーケット目線本気の「着地型観光」が求められています。

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