旅人 #002 ウリエル・エンリケ のドキュメンタリー

ウリエル・エンリケ - 旅人 #002

旅のテーマ:
和食と真鯛

ミッション:
1. 和食の技法を学ぶ
2. 真鯛料理4品をマスターする

メキシコ グアナフアト州のレオン市出身。子どもの頃から祖母の料理を手伝い、食を通じて人に歓びを与えたいと思うようになる。ラサール大学でガストロノミーを学び、和食に出会う。その技法や素材の独自さに惹かれて和食の道を志すことを決意、2018年の8月からレオン市郊外の日本食料理屋"GOEN"で働き、今は副料理長として地元の日本人に本格的な故郷の味を提供し続けている。

大学で料理を学んでいた頃に和食に出会った。その味付けの豊かさ、素材と技法の独特さは、それまで自分の知っていた料理とはまるで違う世界のものだったんだ。

Day 0:いざ地球の反対側へ

和食に出会って以来ずっと夢だった日本旅行、そんなウリエルの夢はある日突然叶えられた。「日本で1週間の和食修行の撮影旅行にきませんか?」地球の反対側からの招待に、日に日に募る期待感。職場の同僚たちや家族に見送られながら、ウリエルは初めて中米の地から飛び立った。

Day 1:ようこそ、なまはげの地へ

メキシコシティから14時間の空の旅を経て、東京で一泊したあとさらに新幹線に乗ること4時間以上。ようやくたどり着いた日本の北の果ての駅で彼を迎えたのは、巨大ななまはげ面。「なんで節分の鬼が飾られてるの?」と、早速日本文化への嗜みを見せるウリエル。明日から始まる修行にむけて一息つくと、地元の人に食事に誘われた。初めて食べるじゅんさい鍋、サザエにホヤ。早速日本のおもてなしに触れながら、一口ひとくち真剣な眼差しで料理を味わっていた。

東京には、初めて見るテクノロジーがたくさんあった。そして秋田では、文化と伝統が守られてる様子を見た。それもまた、素晴らしいことなんだ。

Day 2:修行開始、いざお手並み拝見。

緊張した面持ちで、男鹿温泉郷にある今回の修行場所である「別邸 つばき」へと向かう。そこの料理長の相場さんとご対面すると、「では早速、どのくらい包丁が使えるか見てみましょうか」。そして初めて真鯛を見るウリエルに、下ごしらえを身振り手振りで教える相場料理長。流れるように真鯛の鱗をひくウリエルに、一同は感心するのだった。

初日の修行は本当に大変で、なによりも文化の違いでコミュニケーションが難しかった。それでも僕は苦しくても楽しむことができるし、相場さんから学び続けたい。

Day 3:4品の真鯛料理

「期待以上の腕前でした」と語る相場料理長から、ウリエルに4品の真鯛料理が課される。『姿造り』『潮汁』『吹寄焼き』『兜煮』、それらを次々と流れるように作り上げる相場料理長をひたすらと目で追い続けるウリエル。「最終日には、一人でこれらを作れるように指導します」。盛り付けや下ごしらえなどの雑務を繰り返しながら、合間あいまに真鯛料理を学ぶウリエルは、終始無言で包丁を握りながら食材と向き合っていた。

僕の考えだと、仕事場では自分の仕事とお客様に提供する料理に対して、敬意を持ってやらなければいけない。だから僕は料理の時には黙る方が好きだし、最大限の集中を持って取り組むようにしているんだ。

Day 4:ひたすら同じ作業

修行の目標も定まり、ウリエルはひたすら真鯛を調理する技術を磨く。夕食に提供される用の真鯛を何尾も下ごしらえし、鱗をひき、3枚おろしにする。それはまるで同じ作業の繰り返しにも見えるが、ウリエルによるとそれは違うらしい。「同じに見える作業一つ一つに向き合うことで、徐々にできなかったことができるようになってくるんだ」

他の人からすれば、ただ同じ作業の繰り返しに見えるかもしれない。でも実はそうじゃなくて、僕から見ると最初は失敗だらけなんだ。そして繰り返すほどにうまくできるようになり、自分の技術が上達するんだ。

Day 5:メキシコの味をふるまう

この日は少し修行から離れて、鯛を釣りに船に乗ったウリエル。雲ひとつない空の下、なぜか魚は一尾しか釣れず。そしてこの夜はウリエルの希望で、地元の人々にメキシコ料理を振る舞うパーティーが開催された。相場さんから学んだ技法で真鯛をさばき、大量のレモンと玉ねぎと和えた『セビーチェ』に。さらに定番のタコスや家庭料理のモレまでも。夜遅くまで地元の人たちと賑わいながら、最後まで料理をしつづけるウリエルは終始リラックスした笑顔を見せていた。

小さい頃から、クリスマスの時には家族のために僕が料理をしていたんだ。いつもみんな僕の料理を美味しいと褒めてくれて、それが料理へのやる気になっていたんだ。

Day 6:I can do it.

いよいよお披露目会を明日に控えたウリエル、相変わらずこの日も下ごしらえに勤しむ。4品の真鯛料理を相場料理長から教わりながら、それぞれの大事な「一手間」を教わる。「日本料理では素材の味を活かすために、味を足し算していくのでなくて、余計な味を引き算していくんです」と料理長。ひとつひとつの調理過程を丁寧にこなすウリエルは緊張した様子もなく、「きっと自分ならできる」と明日に向けて淡々と技を磨くのだった。

これまで、意味も理解せずやっていた調理過程が沢山あった。でもここで修行をしながら、それらの過程や下ごしらえの訳を学ぶことができた。本当に沢山の学びがあった。

Day 7:お披露目

修行の最終日、ウリエルは地元の家族を招待して、真鯛料理4品のお披露目会を行った。朝から丁寧に真鯛の下ごしらえをし、『姿造り』『潮汁』『吹寄焼き』『兜煮』と次々と準備を進める。そして料理を運び、いざ実食。招待されたご家族はみんなでウリエルの真鯛料理を愉快に味わった。満足そうに帰っていったご家族にホッと胸をなでおろし、ウリエルは別邸 つばきの修行の場を後にするのだった...

今回自分が作った真鯛料理は、そんな調理法があるなんて知らなくて驚いたし、しかもとても美味しかったんだ。だからメキシコに帰ったら現地の日本人に喜んでもらえるように、作ってあげれたらと思うんだ。

旅の終わり

秋田での1週間の修行を終えたウリエル、その後東京で1週間の休日を過ごす予定だったが、なんと次なる修行の地を見つけたという。「将来は自分のお店を開きたいんだ。日本とメキシコ料理のフュージョンなんかもいいかもしれないね」。と語るウリエルは自然体で、とても汗水垂らして修行をしているという印象が全くなかった。終始「料理が好きなんだ」と言い続けていたウリエル、彼がメキシコに帰ってからもう3ヶ月近くになる。今日も彼は将来の夢に向けて、淡々と同じに見える作業をこなしながら、料理の腕を磨いているのだろう。

そう、また修行するんだ。もちろん日本の文化や街のことも知りたいけれど、自分の将来にとって一番大事なこと、そして僕にとって日本でできるベストなことは、できるだけ多く料理を学ぶことなんだ。

男鹿温泉 結いの宿 別邸つばき

http://www.ogaonsen.com
〒010-0687 秋田県男鹿市北浦湯本中里81
0185-33-2151

Goen

https://goenrestaurantejapones.wordpress.com/
Av Paseo del Moral 519,
Jardines del Moral,
37160 León, Gto.,メキシコ

+51 477-688-6434